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1人美容室を開業するメリット、デメリットと資金別開業のポイント
2024年09月27日
2024年11月19日 更新
「1人美容室の開業にはどれくらいの資金が必要?」「1人美容室を開業するメリットとデメリットを教えて欲しい」などと考えていませんか。開業に関する不安を抱えている方は多いでしょう。1人美容室の主なメリットは理想を追求しやすいこと、主なデメリットは1人ですべての業務を行わなければならないことです。
ここでは、自己資金の金額別に開業のポイントを解説するとともに、1人美容室のメリット、デメリット、1人美容室で成功するコツなどを紹介しています。開業を検討している方は参考にしてください。
1人美容室を開業する際の開業資金とは
一般的に、1人美容室を開業するには、800~1,000万円程度の資金が必要といわれています。ここでは、自己資金(開業資金)の金額別に開業のポイントついて解説します。
①開業資金が100万~300万円の場合
日本政策金融公庫が発表している「2022年度新規開業実態調査」によると、創業資金調達総額に占める自己資金の割合は21.3%です(調達額合計:1,274万円、自己資金271万円)。1人美容室に限ったデータではありませんが、新規開業にあたり多くの方は2割程度の自己資金を用意していると考えられます。
出典:日本制作金融公庫「「2022年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~」
以上をもとに考えると、1人美容室の開業に必要な自己資金は170~213万円(800~1,000万円の21.3%)です。手元に170~300万円の自己資金があれば、開業は可能と考えられます。ただし、資金に余裕があるとは限りません。ケースによっては、物件取得費や内外装工事費を削るなどの対策が必要になるでしょう。
②開業資金が300万円以上の場合
自己資金が300万円以上ある場合は、ある程度のゆとりをもちつつ1人美容室の開業準備を進められます。美容室の開業には以下の費用などがかかります。
【開業資金の内訳】
- 物件取得費
- 内外装工事費
- 美容機器・美容器具費
- 材料費
- 備品代
- 広告宣伝費
- 運転資金
自己資金が300万円以上あれば、こだわりたいところにこだわれるでしょう。たとえば、開業物件にこだわる、内装にこだわるなどが考えられます。理想の店舗に近づけやすくなります。ただし、こだわりすぎには注意が必要です。運転資金が少なくなると、開業直後の経営が不安定になってしまいます。資金にゆとりがある場合も、資金計画を立てて開業準備を進めることが大切です。
③開業資金がゼロの場合
自己資金がゼロだと、金融機関から融資を受けることは難しくなります。日本政策金融公庫の新規開業資金は自己資金要件を設けていませんが、それでも自己資金を全くチェックしないわけではありません。前述の通り、1人美容室の開業には800~1,000万円程度の資金が必要です。融資を受けられないと、開業は難しいと考えられます。
ただし、開業の可能性がないわけではありません。たとえば、すでに開業している美容室の空席を借りる面貸しであれば自己資金ゼロでも開業できる可能性があります。
あるいは、シェアサロンの利用も考えられます。シェアサロンについては「1人美容室としてのスタイル」で解説しています。
関連記事:美容室開業資金のため融資を受けるための流れと審査通過のポイント
1人美容室の経営が成り立つラインとは
1人美容室の経営が成り立つラインはケースで異なります。店舗により客単価や経費などは異なるためです。以上を前提として、1人美容室の収益を検討します。ここでは、HOT PEPPER Beauty Academyが発表している「美容センサス」を参考に客単価を7,000円(女性の利用金額7,293円/回)、経費は以下の項目がかかったものと仮定します。
【経費】
- 家賃:売上の8%
- 光熱水費:売上の3%
- 材料費:売上の10%
- その他:売上の2%
- 合計:売上の23%
美容室の営業日数が24日/月であれば、平均客数別の売上と利益は以下のとおりです。
1日の平均客数 | 売上 | 利益 |
2名 | 336,000円(14,000円×24日) | 258,720円(336,000円-77,280円) |
3名 | 504,000円(21,000円×24日) | 388,080円(504,000円-115,920円) |
4名 | 672,000円(28,000円×24日) | 517,440円(672,000円-154,560円) |
5名 | 840,000円(35,000円×24日) | 646,800円(840,000円-193,200円) |
創業融資を受けている場合は、利益から返済を行わなければなりません。たとえば、毎月の返済額が70,000円であれば、1日の平均客数が2名の場合は手元に残る金額が188,720円、3名の場合は318,080円、4名の場合は447,440円、5名の場合は576,800円になります。以上を参考に、経営が成り立つラインを検討してみてはいかがでしょうか。
出典:HOT PEPPER Beauty Academy「美容センサス2023年上期資料編(詳細版)<美容室編>」
関連記事:1人で美容室を開業するための費用と申請可能な助成金・補助金の種類
1人美容室を開業するメリット
1人美容室の開業には、いくつかのメリットがあります。代表的なメリットは次のとおりです。
営業時間を自由に決められる
自身がオーナーを務める1人美容室は、営業時間、営業日などを自由に決められます。たとえば、午後のみの営業にすることや週4日の営業にすることなども可能です。あるいは、予約が入っていない日は早めに閉店するなども考えられます。ライフスタイルに合わせて営業できる点は大きな魅力です。
自分好みの店づくりができる
自身がオーナーを務めるため、1人美容室は自由な店舗づくりを行えます。具体的には、店舗の立地条件、外装・内装、コンセプト、ターゲット、価格設定などを一存で決められます。たとえば、富裕層をターゲットに設定して、こだわりぬいた美容室にするなども可能です。もちろん、費用や売上などは気にしなければなりませんが、自由に理想を追求できる点は1人美容室の面白さといえるでしょう。
人間関係の悩みが減る
美容室にかかわらず、大勢で働いていると少なからず人間関係の悩みが生じます。厚生労働省が発表している資料によると、離職理由の76.6%は自己都合で、うち23.0%は人間関係です。多くの方が職場の人間関係で悩んでいることがわかります。1人美容室は1人で働くため、スタッフ間の人間関係で悩むことはありません。お客様の対応に力を注げる点も、1人美容室のメリットと考えられます。
出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
人件費が発生しない
人件費が発生しない点も、1人美容室の強みとしてあげられます。人件費をゼロにできるうえ採用活動費もかかりません。規模の大きな店舗、設備を必要としない点もポイントです。経費がかかりにくいため、手元にお金を残しやすくなります。また、計画通りに売上を伸ばせない場合も店舗を存続させやすいでしょう。
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また、ご相談後こちらからしつこく連絡することは一切ございません。
1人美容室を開業するデメリット
1人美容室の開業にはデメリットもあります。以下の点には注意が必要です。
長期継続が難しい
1人美容室は、長期の計画を立てにくい傾向があります。たとえば、10年先、20年先を見据えて後進を育成したいと思っても実現は難しいでしょう。体力的な理由で店舗の管理に専念したいと考えた場合も同様です。1人で営業することを前提に店舗を設計しているため、簡単にはスタッフを受け入れられません。ケースによっては、やむを得ず閉店しなければならないこともあるでしょう。
経理も覚える必要がある
1人美容室では、オーナーが複数の業務をこなさなければなりません。一例としてあげられるのが経理業務です。開業にあたり、経理の基礎知識を身につける必要があります。本業だけに集中できるわけではありません。経理業務に負担を感じる場合は、税理士に記帳や税務申告を依頼するとよいでしょう。ただし、毎月、一定の費用がかかります。
対応できる範囲が限られる
スタッフを雇わない1人美容室はできることが限られます。たとえば、予約が次々に入っても、1日20人のお客様に対応することは難しいでしょう。したがって、売上には上限があります。基本的には、大きな成長を見込めるビジネスではありません。一方で、1人ひとりのお客様に時間をかけて対応できるなどの魅力があります。メリット、デメリットを理解して開業することが大切です。
1人美容室を成功させるコツ
残念ながら、開業したすべての1人美容室が成功しているわけではありません。しっかりと準備をしてから開業する必要があります。成功のコツとして次の点があげられます。
成功のコツ | 概要 |
コンセプトを明確にする | 理想的な顧客像をもとに店舗の方向性を決定する |
店舗の詳細を明確にする | コンセプトをもとに、出店エリア、メニュー、価格帯、店舗の雰囲気などを決定する |
経営者視点を忘れない | お金の流れ、店舗の強み・弱み、競合店の動向などを把握して店舗を運営する |
広告宣伝を怠らない | 美容集客サイト、SNS、チラシなどを活用して集客する |
まずは、ターゲットを設定して、コンセプトを明確にしたうえで、店舗の強みを打ち出すことが大切です。自店舗ならではの強みがあれば、差別化を図れるため競合店との競争を避けられます。
1人美容室としてのスタイル
1人美容室の開業には、まとまった資金がかかります。また、メリットだけではなくデメリットもあります。開業に不安を感じる方は、シェアサロンでフリーランスの美容師として働くことを検討するとよいかもしれません。
シェアサロンは、店舗の施術スペースを有料で利用できるサービスです。原則として、店舗の外装や内装を変更することはできませんが、メニューは自由に決められます。個人事業主として働く点や営業時間を自分で決められる(日単位、時間単位などでのレンタル可)点も1人美容室と同じです。
一方で、開業資金はかかりません。数万円程度の初期費用と月額利用料を払えば開業できます。リスクを避けたい方は、シェアサロンの利用を検討するとよいかもしれません。
関連記事:シェアサロンで開業するなら絶対に知っておきたい基礎知識
1人美容室は計画的に開業しましょう
ここでは、1人美容室の開業について解説しました。開業にあたり800~1,000万円程度の資金がかかります。融資を受けたい場合は、原則として一定の自己資金が必要です。1人美容室には理想を追求できる、人間関係で悩まなくてよいなどのメリットがあります。
ただし、1人で営業するため、できることには限界があります。開業資金を用意できない場合や開業のリスクが気になる場合は、シェアサロンでフリーランスの美容師として働くこともできます。
この記事を参考に、自身に合っている働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
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