美容室における原価率の重要性・計算方法と抑えるための5つの方法
2025年01月09日
2025年02月04日 更新
目次
美容室を開業したいと考えている方に向けて、美容室における原価率について解説します。
独立・開業して美容室を開きたいと考えたときに、悩みのタネとなるのが経費や利益についてではないでしょうか。
どのように利益を上げ、経費を抑えるかについて悩む方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、美容室の原価率について解説します。
原価率とは売上に対する経費の割合のこと。
参考にしていただければ、経営においてどのように経費を削減すべきか、利益を高めるにはどうするべきかおわかりいただけるはずです。
美容室経営の原価率の重要性
美容室経営における原価率は、利益を得るために重要となります。
利益とは、『売上から経費を差し引いた残りの金額』を指します。つまり売上が多いとしても、経費も多ければ利益は上がりません。
そして原価率とは、売上に対する経費の割合のことを意味します。
売上に対する経費の割合が少ないほど、「原価率が低い」と言えます。
原価率が下がるほど利益が多くなり、美容室経営が順調に進むでしょう。
つまり美容室経営を軌道に乗せるには、原価率を抑えることが重要です。
原価率を抑えて、売上に対しての利益率を高めれば、自然と利益が増えていくでしょう。
美容室の原価率の計算方法と具体例
美容室の原価率の計算方法は次のとおりです。
原価率 = (原価 ÷ 売上) × 100
わかりやすい事例として、1回あたりの施術費用を用いて原価率を計算してみましょう。
たとえば1回の施術で、水道光熱費と材料費が2,000円であったとします。
そして売上が15,000円だったと仮定します。
上記の計算方法から算出すると、原価率は次のとおりです。
(原価)2,000円 ÷ (売上)15,000円 × 100 = 13.33
およそ13%となります。
もし原価率を10%にできたとしたら、その分、1回の売上に対する利益率を高められるでしょう。
そこで1回あたりの施術で、水道光熱費と材料費が1,500円であり、売上が15,000円となった例をご紹介します。
電力消費量を抑えたり、シャンプー・トリートメントの価格を抑えたりすれば原価を抑えられるはずです。
原価率を計算すると、次のとおりとなりました。
(原価)1,500円 ÷ (売上)15,000円 × 100 = 10
上記のように、原価率は10%となります。
原価としてかかる金額を抑えられれば、同じ売上金額でも原価率が抑えられ、美容室の利益は多くなる仕組みです。
高級な材料を使用し、施術費用を引き上げることで売上を増やす方法もあります。
しかしやはり、施術費用が高額となれば来店してくれる顧客は限られてくるのが現実です。
多くのお客様に対応するには、原価率を抑えることが得策と言えます。
今回ご紹介したのは1回あたりの施術でしかありません。
もし1日単位、1ヶ月単位で違いを計算すれば、原価率の違いによって利益は大きく変わるでしょう。
原価率は美容室経営において、日々意識しなければならないポイントです。
関連記事:1人で美容室を開業するための費用と申請可能な助成金・補助金の種類
美容室の理想の原価率
美容室において理想の原価率は、「10%以下」とされています。
先にご紹介した例で考えると、15,000円の施術を行うなら、原価は1,500円以下であるのが理想です。
可能であれば、8%程度に抑えることで、より利益が向上しやすくなります。
原価率は低ければ低いほど利益が多くなります。
しかしあまりに原価率を抑えすぎても、経営に支障が現れるかもしれません。
施術費用に対して、満足できない結果であれば失客してしまう可能性もあります。
あくまでも施術の品質を保ちながら、原価を抑えていくことが重要です。
すべての施術に対して個別に原価率を算出するのは非効率で現実的ではありません。
そこで1回の施術での、理想となる原価を知っておけば、手軽に理想の原価率を目指せるはずです。
次の原価を参考にしてください。
施術内容 |
原価の目安 |
シャンプー |
60円 |
トリートメント |
200円 |
カラー |
300~800円 |
パーマ |
600~700円 |
施術をするときに、理想となる原価をご紹介しました。
シャンプーをするときには60円分の原価を使うことを意識し、パーマであれば600~700円が目安となります。
感覚として「どのくらい使えば基準の原価になるか」を覚えておけば、美容室で理想とされる原価率を目指しやすくなるはずです。
美容室経営で原価率を抑える方法
美容室経営では原価率を抑えることが利益につながると解説しました。
それではどのようにして原価率を抑えるべきでしょうか?
原価率を抑えようとしても、どこから削減していくべきかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし簡単に始められる方法が5つあるので、美容室開業を目指している方はぜひ知っておいてください。
方法1:広告宣伝費を削減する
まずは広告宣伝費を削減することです。
美容室で必要となる経費のひとつに、広告宣伝費があります。確かに広告や宣伝は、美容室の存在を知ってもらうためにしなければならないことです。
しかし売上に対する割合が高くなりすぎると、広告宣伝費が利益を圧迫し、経営が厳しくなる場合があります。
とはいえ、広告宣伝費を削減しすぎるとお客様に店舗を知ってもらえません。
集客力が低くなれば売上も下がり、最悪の場合は撤退しなければならなくなるでしょう。
そのため広告宣伝費は適切に使うべきですが、できる限り抑えるべきでしょう。
最近ではSNSにて無料で宣伝する方法もあります。
SNSであれば基本的に無料で利用できるうえに、施術をした写真の投稿も気軽に行えます。
特にInstagramは写真投稿がメインのSNSであるため、美容室の宣伝・広告と非常に相性が良いでしょう。
またカットモデルやモニターを募って、美容室の技術を宣伝するのも方法のひとつです。
モニター施術の写真をSNSで公開すれば、反響があるかもしれません。
SNSでも公式サイトや予約フォームへのリンクを貼ったり、連絡先を明記したりすれば充分な広告宣伝となります。
美容室経営において原価率を抑えるなら、さまざまな手段を駆使して、広告宣伝費を抑えるようにしてください。
方法2:薬剤の使用料を見直す
薬剤の使用量を見直すことも方法のひとつです。
美容室ではカラー剤やパーマ剤、ブリーチ剤など、さまざまな薬剤を用います。
しかしいずれにしても、購入しなければならないものです。
そこで検討すべきなのが、薬剤の使用量の見直しです。
薬剤を使用するときに、必要以上の分量を使用していないでしょうか?
たとえば混ぜてしまったカラー剤は余っても元にも戻せず、捨てるしかないものです。
もしかすると薬剤を塗布する方法によっては、もっと少ない量でも問題なく施術が行えるかもしれません。
施術で使い切れずに、薬剤が余るケースもあるでしょう。
薬剤の無駄遣いは、美容室において原価率が高まることにつながります。
使用料を見直して節約できるようであれば、効果的な施術をしながら利益を高められるはずです。
方法3:材料費を見直す
薬剤の使用量に加えて、材料費自体を見直すのも良い方法でしょう。
使用する量が少なくなっても、薬剤の価格が高ければやはり美容室の原価率は高くなります。
その点、材料費の価格自体を抑えられるようになれば、さらなる原価率ダウンが期待できるはずです。
たとえばカラー剤やパーマ剤の中に、今使っているものよりも安価なものもあるのではないでしょうか?
価格を抑えられて、さらに使用料も少なくできるようであれば、大幅な経費削減も叶うかもしれません。
もちろん材料費を抑えて品質が下がるようであれば問題です。
しかし同じ品質のものでも、価格を抑えられる別の製品がある可能性もあるでしょう。
薬剤に関しては、使用量とともに材料費も見直してください。
日々使用するものですから、美容室の原価率を抑えるために役立つはずです。
方法4:原価目標を設定する
続いては原価目標を設定する方法についてです。
原価目標とは、適正な原価率を把握したうえで、「◯◯%まで下げる」と目標を立てることを指します。
やみくもに「抑えよう」としても、どこまですべきなのかわからなくなることもあるかもしれません。
そこでまずは、目標を設定してみるのがおすすめです。
目標を設定するには、1回の施術に対して水道光熱費や材料費をどのくらいにするかを考えます。
水道光熱費・材料ともに削減していって、目標値を達成しましょう。
削減方法としては電力消費量の少ない機器を導入すること、薬剤の使用量を抑えることが効果的です。
もしスタッフがいる美容室であれば、スタッフにも原価目標を共有しておくとスムーズになります。
原価目標が達成できたら、スタッフの給与や店舗の利益率も向上することでしょう。
明確な目標を立てることは、美容室の原価率を抑えるために非常に効果的です。
方法5:紙の使用を減らし、デジタルに移行する
美容室の原価率を抑えるには、デジタル化も有効です。
紙の使用を減らせば、経費を抑えられるようになります。
たとえば予約表や顧客カルテで紙を用いている場合、紙を購入する経費が必要です。
しかしデジタル化をすれば、紙を購入する必要はありません。
導入の際に初期費用はかかりますが、その後のランニングコストは抑えられるようになるでしょう。
もし紙を使用する運営方法を考えているなら、デジタルに移行してみてはいかがでしょうか?
紙を購入するための消耗品費も抑えられますし、紙の保管場所も削減できます。
保管場所が必要になるということは、保管のために必要な場所を借りなければならないことと同義です。
美容室はテナント経営であることが多いため、保管場所を借りるために支出を余儀なくされているとも言えます。
また情報を修正するにしても、紙よりもデジタルの方が簡単です。
デジタル化にはさまざまなメリットがあります。
まずは美容室の原価率を抑えるための方法として、導入してみてください。
美容室の原価率はできる限りの方法で抑えて
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、美容室の原価率についてご理解いただけたと思います。
美容室経営において利益率を高めるには、売上に対する経費の割合である原価率を抑えることが効果的です。
しかし美容室を開業するにあたって、原価率を抑えられるのか、経営を上手く進めていけるのかとの不安もあることでしょう。
「hako」では美容室開業のサポートを行っております。
プロジェクトメンバーは元美容師であり、美容室の原価率を抑えるためのアドバイスも可能です。