美容室経営における経費の計上方法と削減のためのコツについて
2025年01月09日
2025年01月20日 更新
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目次
美容室を開業したいと考えている方に向けて、美容室経営における経費について解説します。
開業するとなると、経営者として経費の知識も身に着けなければなりません。
しかし美容室経営でどのようなものが経費になるのか、細部まで把握できていない方もいるかもしれません。
そこで今回の記事では、美容室の経費について解説します。
参考にしていただければ、正しく経費を計上できるようになり、経費削減法も理解できるようになるでしょう。
美容室経営の経費とは?
美容室における「経費」とは、経営のためにかかる費用のことで、「固定費」と「変動費」の2種類があります。
経費は売上から差し引かれるものであるため、計上することにより節税効果が見込めます。
正しい経営をするには、正しく経費を計上できるようになることが大切です。
美容室の経費にはどんなものがある?
それでは美容室経営における経費について見ていきましょう。
固定費と変動費についてそれぞれ、どのようなものが経費となるのか解説します。
固定費
固定費とは、毎月必ず発生する経費のことで、金額は一定ではない場合もありますが、毎月や毎年など定期的に発生します。
美容室で発生する固定費は、主に次の5つです。
水道光熱費
まずは水道光熱費です。電気代・水道代・ガス代が水道光熱費にあたります。
美容室は水やお湯を頻繁に利用するタイプの店舗であるため、営業には電力が不可欠であり、ドライヤーの使用にも電力が必要です。
他の業種に比べて、高くなりがちな経費と言えるでしょう。
人件費
人件費も美容室における経費のひとつです。
スタッフを雇うときに支払う給料が人件費となります。1人で経営するタイプの美容室であれば不要ですが、いつか必要になることもあるかもしれません。
人件費も念頭に置いて経営計画を立てると、資金繰りが上手くいきやすくなります。
家賃
続いては家賃です。
物件を賃貸するのにかかる賃貸料のことを指します。
もちろん賃貸でない場合は必要ありませんが、美容室ではテナント経営が多く、多くのケースで家賃の支払いが必要です。
美容室の経費の中でも金額が高いうえに、売上がない場合でも必ず発生します。そのためできるだけ金額を抑えておきたいところです。
家賃は売上の10%を目安に設定することが推奨されます。
材料費
材料費も経費のひとつとなります。
材料費とはシャンプーやトリートメント、ヘアオイル、ヘアカラー剤など、施術に使う材料のことです。
仕入れるためには当然、費用が必要となります。
しかし売上がないときは発生しないため、大きな負担にはならないでしょう。
売上の5%程度が目安とされています。
通信費
通信費も固定費として計上してください。
電話やインターネットを利用するために必要となるのが通信費です。
美容室では予約を受けるために、電話とインターネットの利用が必要不可欠です。
最近ではインターネット予約を利用する方が多く、インターネット回線も準備したいところです。
変動費
続いて解説する変動費とは、固定費とは違い、不定期に発生する経費のことです。
美容室経営において変動費として分類されるものは4種類あります。
消耗品費
変動費として計上できるものの代表であるのが消耗品費です。
ハサミやクシ、タオル、ドライヤー、コテなどが消耗品費にあたります。
国税庁の公式サイトには、以下のように解説されていました。
- 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
- 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費
取得価額が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算定した金額によります。
出典:出典:国税庁:消耗品費
美容室では文房具や紙も必要となります。
また、1年以内に交換が必要なものや10万円未満のものは、消耗品として扱われます。
国税庁の定義をもとに、消耗品費を計上してください。
保険料
続いてご紹介するのは保険料についてです。
保険料とは火災保険や地震保険、スタッフのための社会保険などが該当します。
もし複数の店舗があり、移動手段として車が必要であるなら自動車保険も含められます。
そのほかにも、美容室経営のために必要であるなら経費として計上可能です。
租税公課
租税公課も経費として計上できる支出です。
どのような税金が経費となるのかは、下記の国税庁の記載を確認してください。
必要経費になる租税公課は、以下のようなものです。
- 事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金
- 商工会議所、商工会、協同組合、同業者組合、商店会などの会費、組合費又は賦課金
出典:国税庁:租税公課
もし商工会議所や美容組合の会員になるなら、会費も租税公課のひとつとなります。
ただし所得税及び復興特別所得税や住民税は、美容室経営に必要ではないため経費となりません。
租税公課を経費計上する際には、税金の種類を確認して正しく計上してください。
広告宣伝費
美容室経営のための広告宣伝費も経費となります。
ポスティングのためのチラシを作ったり、インターネット広告を掲載したりするための費用です。
全く宣伝を行わない場合には、広告宣伝費は不要です。
しかしやはり集客のためには欠かせない経費と言えるでしょう。
そして広告・宣伝に費用がかかったら、忘れずに経費として計上してください。
美容室の経費の仕分けについて
美容室で経費の仕訳をする際には、知っておきたいポイントが3つあります。
「家事按分」「減価償却」と勘定科目の設定についてです。
経費を正しく計上できるように、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
家事按分を行う
もし自宅兼美容室として開業するなら、家事按分の考え方について知っておいてください。
家事按分とは、自宅用と事業用とで費用を分けることです。
たとえば自宅で事業を行っていると、電気代や水道代、家賃などはプライベートな分も含まれてしまいます。
経費として計上できるのは、あくまでも「事業用として使用している分」のみです。
プライベートな部分を経費としてはいけません。
そのため事業用として使用した割合から、経費として計上できる金額を決めます。
家賃の場合、全体面積に対する事業用の割合を基準に算出されるケースが一般的です。
もし自宅の半分が美容室で家賃が100,000円であれば、経費として計上できるのは50,000円です。
水道光熱費は営業時間から算出したり、コンセントの数によって事業用の割合を決めたりします。
正確な算出は難しいものの、自宅で美容室を運営する場合は、家事按分を行い適切に経費を算出する必要があります。
減価償却にする
美容室で10万円以上の物を経費として計上する際は、減価償却を行います。
先に解説したように、消耗品費となるのは「100,000円未満の物」のみです。そのため100,000円以上のものは消耗品とはならず、資産と考えられています。
そして資産となった物は、減価償却と呼ばれる方法で経費として計上するのがルールです。
物にはそれぞれ耐用年数が定められています。耐用年数内で少しずつ経費として計上していくのが減価償却です。
これから取得する資産は、「定額法」にて償却していってください。
店舗独自の勘定科目を設定する
経費計上する際に迷いがちな勘定科目ですが、実は店舗独自の勘定科目の設定も認められています。
確定申告では勘定科目が記載されています。
しかし美容室経営においては、どれにも該当しないケースもあるでしょう。
該当する勘定科目がなければ、独自の科目を設定してください。
ただしあまりに独自の勘定科目が多すぎると仕訳の手間が増えてしまいます。
また、毎年の確定申告において異なる勘定科目を使用しないよう注意が必要です。
しかし経費を計上する際には、店舗独自の勘定科目を設定して、正確な帳簿付けが行えることは知っておいてください。
美容室の経費を抑える方法
美容室経営の経費について解説してきましたが、やはり経費は抑えたほうが利益が上がります。
そこでご紹介するのが、美容室の経費を抑える方法です。
以下の3つの方法を取り入れることで、余分な経費を抑えられる可能性があります。
方法1:紙の削減をする
まずは紙の削減を心がけることです。
美容室では予約表や顧客カルテで紙を使うこともありますが、紙はその都度購入をしなければなりません。
そこでおすすめなのが電子化です。
予約表を予約管理システムにする、顧客カルテを電子化する方法にて、大幅に紙の購入を減らせるようになります。
電子化を行うことで、紙の保管場所が不要となり、情報の検索性も向上します。
紙の購入費用を削減できるだけでなくメリットも大きいため、紙の削減を意識的に行いましょう。
方法2:材料費を削減する
材料費を削減するのも方法のひとつです。
美容室経営において欠かせないのが施術に必要となる材料。売上に比例する経費ではあるものの、削減可能な部分を見直すことで、利益を向上させることができます。
材料費を削減する際には、まず売上予測を立てることから始めましょう。
その後、売上に基づき材料費に充てられる適切な金額を算出します。材料ごとに適切な発注数を考えて、1週間に2回以上に分けて発注する方法を検討してください。
発注した数は、ミスがないように管理する必要があります。
ご紹介した方法で材料を発注すれば、発注しすぎたり、売上に対して高額になりすぎたりするのを防げます。
材料費は美容室にて削減しやすい経費ですので、積極的に検討してみてください。
方法3:電力を削減する
最後に電力を削減するのも経費削減のための良い方法です。
美容室ではどうしても電力が必要となります。
しかし電力プランや電力会社を切り替えたり、電力消費量の少ない機器を取り入れたりなどの対策は取れるでしょう。
白熱電球ではなくLEDにすると、電力消費量も少なくなるはずです。
いかにして電力を削減できるか考えると、意外と安く抑えられるかもしれません。
関連記事:美容室における原価率の重要性・計算方法と抑えるための5つの方法
美容室経営では経費を正しく把握して
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、美容室経営における経費についてご理解いただけたと思います。
美容室では固定費と変動費、2種類の経費がかかります。
正しく計上するには、経費について正しい知識を持つことが大切です。
「hako」では美容室の開業支援を行っており、元美容師のスタッフが、美容室経営における経費についてもサポート可能です。
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