美容室の開業に保健所への届け出は必要?手続きの流れも解説

2025年07月03日

2025年07月03日 更新

美容室を開業する際、保健所への届け出や検査は避けて通れない重要な手続きです。美容業法により、美容室の開設には保健所への届け出と立ち入り検査が義務付けられており、これらの手続きを怠ると営業許可が下りません。開業をスムーズに進めるためには、必要な書類の準備から検査項目まで、事前に正しい知識を身につけておくことが大切です。

本記事では、美容室開業時の保健所手続きについて、必要書類から検査の流れまで詳しく解説します。

美容室の開業に保健所への届け出は必要なのか

美容室の開業には、美容業法に基づいて保健所への届け出が法的に義務付けられています。これは、お客様の安全と衛生環境を確保するための重要な制度です。

美容業法第11条により、美容所を開設しようとする者は、あらかじめ開設地を管轄する保健所長に届け出を行わなければならない、と定められています。届け出を行わずに美容室を営業することは法律違反となり、営業停止処分や罰金が科せられる可能性があるでしょう。

届け出と合わせて、保健所による立ち入り検査を受け、基準を満たしていることが確認されて初めて営業許可が下ります。

個人経営の小規模サロンであっても、法人経営の大型サロンであっても、美容サービスを提供する施設はすべて保健所への届け出が必要です。手続きは美容室開業の必須条件であり、事前の準備と正しい理解が開業成功のカギとなります。

美容室の開業前に保健所に提出する書類

美容室開業時の保健所への届け出には、複数の書類提出が必要です。書類の不備は手続きの遅れを招くため、事前に必要書類を確認し、漏れなく準備しておきましょう。

書類①美容所開設届

美容所開設届は、美容室開業の基本となる書類です。開設者の氏名や住所、美容所の名称、所在地、構造設備の概要などを記載します。各保健所で所定の様式が用意されています。開設予定日の7日前までに提出しましょう。

記載内容に不備があると受理されないため、記入前に保健所窓口で記載方法を確認することをおすすめします。提出期限は「開設の7日前まで」とされていますが、前もって提出することができます。余裕を持って10日以上前に提出しておくと、不備があった場合にも再提出が間に合いやすくなります。

また、開設者が法人である場合は、法人名や代表者名なども正確に記入しましょう。提出時には、身分証明書の提示が求められる場合があるため、準備しておくと安心です。

書類②美容室の構造設備の概要

構造設備の概要書では、美容室の設備や構造について詳細に記載します。書類には、作業面積、椅子の台数、洗髪設備の数、待合スペースの配置などを具体的に明記する必要があります。構造設備の記載では、美容師法施行規則に基づき、作業区域の面積が13㎡以上であること、採光や換気が十分に確保されていることなど、法的基準を満たす必要があります。

施設の平面図や周辺の見取り図も添付することが求められるため、正確で見やすい図面を準備しましょう。提出する図面は立ち入り検査時の重要な資料となります。写真を添付するよう求められる自治体もあるため、事前に用意しておきましょう。

書類③従業員の名簿

従業員名簿には、美容室で働くすべてのスタッフの氏名、住所、美容師免許証の登録番号などを記載します。全従業員の美容師免許証はもちろん、管理美容師がいる場合は管理美容師の講習修了証も提示する必要があります。スタッフが複数人いる場合は、役職や担当業務を明記しておくと、審査がスムーズに進むでしょう。

名簿の保管や更新は開業後も継続して必要となり、監査の際に確認されることがあります。その場だけでなく、長く保管できる状態の名簿を作成しておきましょう。従業員の入退職により名簿に変更が生じた場合は、速やかに変更届を提出することも義務付けられています。

書類④医師の診断書

開設者および従業員の健康状態を証明する医師の診断書が必要です。結核、皮膚疾患その他の伝染性疾患にかかっていないことを証明する診断書を提出します。診断書は、開設届提出前3カ月以内に取得したものという条件があります。診断書の有効期限に注意し、期限切れにならないよう計画的に取得しましょう。

提出先の保健所によっては、所定の様式を指定している場合もあるため、どの医療機関で取得すべきかを含め、事前に確認しましょう。また、開業後も定期的な健康診断が必要となる場合があり、衛生管理体制の一環として取り組むことが求められます。

書類⑤登記事項証明書

開設者が法人の場合に必要になる書類です。法人の商号、本店所在地、代表者氏名、設立年月日などが記載された登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得し、提出します。

発行から3カ月以内の原本が必要となるため、取得時期にも気を付けなくてはなりません。個人事業主として開業する場合は、登記事項証明書の提出は不要です。

保健所以外にも、消防署や行政機関、金融機関などに提出を求められるケースがあります。登記事項証明書の写しを複数部用意しておくと便利です。

美容室の開業に必要な保健所での手続きの流れ

美容室開業時の保健所手続きは、段階的に進める必要があります。スムーズな開業のためには、各ステップのタイミングと手順を正しく理解しておくことが大切です。

美容室の工事の開始前に保健所に相談する

内装工事を始める前に、まず管轄の保健所に相談しましょう。物件の構造や設備計画が美容業法の基準を満たしているかを事前に確認しておくと、工事完了後の検査で不適合となるリスクを避けられます。

保健所の担当者に図面を持参し、設備配置や面積要件について詳しく相談しましょう。早めに相談しておくと、後々のトラブルを未然に防ぎやすいです。相談時には物件の間取り図だけでなく、想定する設備配置図も準備しておくと、より具体的なアドバイスを受けることができます。また、保健所によっては事前相談の予約が必要な場合もあるため、早めに連絡を取ることをおすすめします。

開設届と必要書類を保健所に提出する

工事が完了し、営業開始予定日が確定したら、開設届と必要書類一式を保健所に提出します。提出は営業開始予定日の7日前までに行う必要があります。書類に不備があると受理されず、開業予定日が遅れる可能性があるため、事前に書類の内容を十分にチェックしておきましょう。

提出時には、手数料の支払いも必要です。手数料は自治体により異なりますが、一般的に15,000円から25,000円程度です。また、提出時には原本とコピーの両方を持参し、受付印を押印してもらった控えを必ず受け取りましょう。この控えは検査日程の連絡や各種照会時に必要となる重要な書類です。

保健所による立ち入り検査を受ける

書類提出後、保健所の担当者による立ち入り検査が実施されます。検査日程は保健所と調整して決定し、開設者または責任者の立ち会いが必要です。検査では、提出した図面と実際の設備が一致しているか、衛生基準を満たしているかなどが詳細にチェックされます。不適合項目があれば改善指導が行われ、再検査となる場合もあります。

検査当日は、消毒設備や器具類も実際に稼働状態で確認されるため、すべての設備を使用可能な状態にしておきます。検査時間は通常1〜2時間程度を要するため、十分な時間を確保しておきましょう。検査官からの質問には正確に答えられるよう、設備の仕様や使用方法を事前に把握しておくことが大切です。

保健所から検査の確認証を受け取る

立ち入り検査で基準を満たしていることが確認されると、保健所から検査確認証が交付されます。確認証の交付をもって、正式に美容室の営業が許可されます。確認証は営業許可の証明書となるため、美容室内の見やすい場所に掲示する必要があります。

これで保健所での一連の手続きが完了し、晴れて美容室の営業を開始することができます。確認証の交付は検査当日に行われる場合もあれば、後日郵送される場合もあります。確認証には有効期限の記載はありませんが、営業内容や構造設備に変更が生じた場合は変更届の提出が必要です。確認証を紛失した場合は再交付申請が可能ですが、手数料が必要となるため大切に保管しましょう。

美容室の開業前に保健所による立ち入り検査が必要な理由

保健所による立ち入り検査は、お客様の安全と公衆衛生の確保を目的とした重要な制度です。美容サービスは直接人体に接触する業務であるため、厳格な衛生管理が求められます。

立ち入り検査では、美容業法で定められた構造設備基準や衛生基準を満たしているかどうかが詳細に確認されます。検査によって、感染症の防止、器具の適切な消毒、清潔な作業環境の維持などが確保され、お客様が安心してサービスを受けられる環境が整います。また、従業員の健康管理や技術資格の確認も行われ、適したサービス提供体制が整っているかを検査によって検証しています。

検査を受けずに営業を開始した場合、美容業法違反となり、営業停止処分や2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられる可能性があります。さらに、無許可営業が発覚した場合、営業停止期間中の売上損失や信用失墜など、経営に深刻な影響を与えることになります。適法な営業のためにも、立ち入り検査は必ず受けましょう。

保健所による立ち入り検査でチェックされるポイント

立ち入り検査では、美容業法に基づく詳細な基準がチェックされます。特に物件選びの段階で注意すべき重要なポイントがいくつかあります。

基準内容 注意点
作業面積 作業椅子1台につき13㎡以上 物件面積の制限を事前確認
待合場所 作業場所と明確に区別 間仕切りやレイアウト設計
流水装置 洗髪設備の適切な設置 給排水設備の工事が必要
採光・照明 十分な明るさの確保 窓の位置や照明計画
換気設備 適切な換気システム 換気扇の設置位置と能力
消毒設備 器具消毒のための設備 紫外線消毒器等の設置

ポイント①床の面積に対する椅子の台数

作業椅子1台につき13㎡以上の床面積が必要という基準は、美容室の基本的な要件の一つです。この面積には待合スペースも含まれるため、物件選びの際は希望する椅子台数に対して十分な広さがあるかを慎重に検討する必要があります。

具体的な計算例を見てみると、3台の作業椅子を設置したい場合は最低39㎡の床面積が必要になります。ただし、この面積はあくまで法的な最低基準であり、実際の営業では通路幅やスタッフの動線、設備機器の配置スペースなども考慮する必要があります。現実的には、椅子1台あたり15〜16㎡程度の余裕を持って計算することが望ましいでしょう。

狭い物件では椅子台数を制限せざるを得ず、売上計画に影響を与える可能性があります。また、将来的な事業拡大も考慮し、ある程度の余裕を持った面積の物件を選びましょう。

ポイント②待合場所と作業スペースの明確な区別

待合場所と作業場所は明確に区別されている必要があります。これは感染症予防や顧客のプライバシー保護の観点から重要な基準です。パーティションや間仕切り壁により物理的に分離するか、床材や天井の仕上げを変えることで視覚的に区別することが求められます。
物理的な分離方法としては、天井まで届く固定式パーティション、可動式の間仕切り、ガラスパネルによる仕切りなどがあります。一方、視覚的な区別では、待合エリアをタイル貼り、作業エリアをフローリングにするといった床材の使い分けや、照明器具のデザインを変える、天井の高さを変えるなどの手法があります。

オープンな空間デザインを希望する場合でも、基準を満たす工夫が必要となるため、設計段階から保健所の指導を受けましょう。区別が不十分な場合は改修工事が必要となり、開業が遅れる原因となります。特に居抜き物件を利用する場合、前テナントの業種によっては大幅な改修が必要になることもあるため、契約前に必ず保健所に相談し、改修内容と費用を把握しておくことが重要です。

ポイント③流水装置の設置

洗髪や手洗いのための流水装置の設置は必須要件です。シャンプー台には温水と冷水の両方が供給できる設備が必要で、適切な排水処理も求められます。また、スタッフ用の手洗い設備も作業場所に設置しなくてはなりません。

シャンプー台の設置では、給水設備だけでなく排水設備も重要です。毛髪や薬剤が流れることを考慮し、適切な排水トラップや配管勾配が必要です。特に2階以上の物件では、排水能力や騒音対策も行わなくてはなりません。シャンプー台の数は作業椅子の台数に対して適切なバランスで設置することが重要で、一般的には椅子2〜3台に対してシャンプー台1台の割合が目安とされています。

スタッフ用の手洗い設備については、作業場所から離れすぎない位置に設置することが求められます。感染症対策の観点から、お客様に触れる前後の手洗いが重要なため、動線を考慮して配置しましょう。

物件の構造によって給排水工事の費用が大きく変動するため、選定時にその可否とコストを慎重に確認すべきです。

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