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美容室開業に活用できる補助金・助成金一覧

2024年09月27日

2024年11月19日 更新

美容室開業には、まとまった資金がかかります。「助成金を活用して経済的な負担を減らしたい」などと考えている方もいるでしょう。助成金の中には、美容室開業に活用できる可能性があるものもあります。

ここでは、このような助成金を紹介するとともに美容室開業に活用するメリット、デメリットを解説しています。

以下の情報を参考にすれば、助成金の種類や助成金を活用するにあたり気をつけたいポイントがわかるはずです。独立などを検討している方は参考にしてください。

助成金と補助金の違い

助成金は、国や自治体などが支給しているお金で、よく似たものに補助金があります。
両者の基本的な違いは次のとおりです。

助成金要件を満たし所定の様式で申請すれば受給できる
補助金原則として審査に通過する必要がある

補助金は、基本的に採択件数などが決まっています。
また、ほとんどのケースで、応募件数が採択件数を上回ります。したがって、受給するため原則として審査に通過しなければならず、補助金のほうが受給のハードルは高いといえます。
ただし、両者に明確な線引きはありません。以上の傾向があると理解しておくことが大切です。

助成金と補助金の共通点は、原則として返済を必要としないことです。
支給された助成金、補助金は、返済不要の資金として事業に活用できます。

関連記事:1人で美容室を開業するための費用と申請可能な助成金・補助金の種類

美容室の開業時に活用できる助成金一覧

助成金の中には、美容室の開業に活用できるものがあります。
主な助成金として、以下のものがあげられます。

両立支援等助成金

就労環境の整備に努める事業主を対象とする助成金です。
具体的には、子育てや介護などを行う労働者の雇用を継続するため、就労環境の整備に努める事業主を対象とします。
コースと支給額は次のとおりです。

コース支給額(1人あたり)
出生時両立支援コース・第1種(男性の育児休業取得)
1人目:20万円
2~3人目:10万円
・第2種(第1種受給年度と比較し取得率が30ポイント以上上昇)
1年以内達成:60万円
2年以内達成:40万円
3年以内達成:20万円
育児休業等支援コース育児休業取得時:30万円
職場復帰時:
育休中等業務代替支援コース育児休業中の手当支給:最大125万円
育短勤務中の手当支給:最大110万円
育児休業中の新規雇用:最大67.5万円
柔軟な働き方選択制度等支援コース制度を2つ導入し、対象者が制度を利用:20万円 制度を3つ導入し、対象者が制度を利用:25万円
介護離職防止支援コース介護休業:休業取得時30万円、職場復帰時30万円 介護両立支援制度:30万円
不妊治療両立支援コース環境整備、休暇の所得など:30万円

出典:厚生労働省「両立支援等助成金(令和6年度)

以上に加え、所定の要件を満たすと加算措置を受けられます。
詳しくは、厚生労働省の公式サイトなどでご確認ください。

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

雇用機会が不足している地域などの事業主を対象とする助成金です
具体的には、当該地域に事業所を設置・整備し、その地域に居住する求職者を雇い入れる場合に、設置整備費用と対象労働者の増加数に応じた助成を受けられます。
助成を受けられる回数は、1年ごとに最大3回です。受給要件は、1回目と2回目、3回目で異なります。
1回目は所定の計画書を労働局長に提出することや施設、設備を計画期間内に整備することなど、2回目以降は被保険者数の維持や対象労働者の維持などを求められます。

助成額は次のとおりです。

設置・整備費用対象労働者の増加数
3(2)~4人5~9人10~19人20人~
300万円以上50万円80万円150万円300万円
1,000万円以上60万円100万円200万円400万円
3,000万円以上90万円150万円300万円600万円
5,000万円以上120万円200万円400万円800万円


※(2)は創業の場合

出典:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

中小企業事業主は1回目の支給額が1.5倍、中小企業事業主で創業と認められる場合は1回目の支給額が2倍になります。
こちらも詳しくは、厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

美容室の開業後に利用できる助成金・補助金一覧

続いて、美容室の開業後に利用できる助成金、補助金を紹介します。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験不足などで就労が難しい求職者などを、無期雇用を前提としてトライアル雇用する事業主に対し、助成金を支給する制度です。
ハローワークに求職申し込みをしているなどの条件を満たす対象労働者を、次の条件を満たして雇用した場合に助成金を受給できます。

【雇い入れ条件】

  • ハローワークなどからの紹介で雇用
  • 原則3カ月のトライアル雇用
  • 1週間の所定労働時間が通常の労働者と同じ

支給額は1人あたり月額4万円(母子家庭、父子家庭の母、父は5万円)、支給期間は雇い入れの日から1カ月単位で3カ月です。

出典:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

キャリアアップ助成金

非正規労働者の正社員化、処遇改善を図る事業主に対し助成金を支給する制度です。
キャリアアップ助成金は複数のコースに分かれます。

 コース名概要助成額
正社員化支援正社員化コース対象者を正社員化30~80万円/人
障害者正社員化コース対象者を正社員化45~120万円/人
処遇改善支援賃金規定等改定コース基本給を3%以上増額3万3,000~6万5,000円/人
賃金規程等共通化コース正規雇用労働者と共通の職務などに応じた賃金規程等を制作・適用45~60万円/事業所
賞与・退職金制度導入コース非正規労働者を対象とする賞与・退職金制度を設け、支給・積立を実施30~56万8,000円/事業所
社会保険適用時処遇改善コース短時間労働者に所定の取組を実施7万5,000~40万円/人

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金

以上に加え、加算額が設けられているコースもあります。
詳しくは、厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

人材開発支援助成金

事業主が労働者に対し、職務に関連する知識・技能を習得させる職業訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練中の賃金の一部を助成する制度です。
人材開発支援助成金は6つのコースにわかれます。
主なコースは次のとおりです。

コース主な受給要件
人材育成支援コース職務に関連する知識・技能を習得する訓練、厚生労働大臣認定のOJT付訓練、非正規雇用労働者の正社員化を目指す訓練を実施
教育訓練休暇等付与コース有給教育訓練制度を導入し、労働者が休暇を取得して当該制度を利用
人への投資促進コースデジタル人材・高度人材を育成する訓練、サブスクリプション型訓練、労働者が自ら行う訓練などを実施
事業展開等リスキリング支援コース新規事業などで必要になる知識、技能を習得する訓練を実施

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金

具体的な受給要件はコースで異なり、助成額も条件によりさまざまです。
たとえば、人材育成支援コース「人材育成訓練」の経費助成は45~70%、賃金助成は760円(1人1時間あたり)です。
詳しくは、厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

業務改善助成金

事業場内における最低賃金を30円以上引き上げて、生産性の向上につながる設備投資などを行った場合に、当該設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。
対象事業者は以下のとおりです。

【対象】

  • 中小企業・小規模事業者
  • 事業場内における最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
  • 不交付事由に該当しない

設備投資などの例として、顧客管理情報のシステム化、経営コンサルティング、人材育成・教育訓練などがあげられます。
助成額は、設備投資費用に一定の助成率を乗じた金額と助成上限額の安いほうです。
助成上限額は、最低賃金の引き上げ額と対象になる労働者数、事業場の規模で異なります。
詳しくは、厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

出典:厚生労働省「令和6年度業務改善助成金のご案内

小規模事業者持続化補助金(一般型)

持続的な経営を念頭に作成した経営計画に基づく小規模事業者の業務効率化や販路開拓などを支援するため、取り組みに要する費用の一部を支援する制度です。
通常枠と特別枠(賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠)で構成されます。
補助を受けるため、日本国内に所在する小規模事業者など、7つの要件を満たす必要があります(特別枠は個別の要件あり)。
補助上限などは次のとおりです。

補助上限通常枠:50万円 特別枠:200万円 ※インボイス特例対象事業者は50万円の上乗せあり
補助率3分の2(賃金引上げ枠で赤字の事業者は4分の3)
対象経費広報費、ウェブサイト関連費、旅費、機械装置等費、資料購入費、借料、設備処分費など

出典:商工会議所地区小規模事業者持続化補助金「<一般型>第14回~16回受付締切回

詳しい要件などは、公式サイトでご確認ください。

IT導入補助金

小規模事業者、中小企業などの労働生産性を高めるため、業務効率化などに貢献するITツールの導入を支援する補助金です。
事務局に登録済みのIT導入支援事業者からサポートを受けて同補助金を申請します。
補助対象は、事務局の審査を受けて登録されたITツールで、IT導入補助金は以下の枠に分かれます。

枠名概要補助率補助額
通常枠自社の課題に合わせたITツールを導入2分の1以内1プロセス以上:5万円以上150万円未満 4プロセス以上:150万円以上450万円以下
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度に対応したソフト、PCなどを導入【会計・受発注・決済ソフト】
・補助率が4分の3以内、5分の4以内のものは補助額50万円以下
・補助率が3分の2以内のものは補助額50万円超~350万円以下
【PC・ハードウェア】
・PC、タブレットなどは補助率2分の1以内、補助額10万円以下
・レジ、券売機などは補助率2分の1以内、補助額20万円以下
インボイス枠(電子取引類型)インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入中小企業、小規模事業者等:3分の2以内
その他事業者等:2分の1以内
~350万円以下
セキュリティ対策推進枠サーバーインシデントのリスク低減を支援2分の1以内5万円~100万円以下
複数社連携IT導入枠関連のある複数の事業者が連携して、ITツールを導入し生産性の向上を図る取り組みを支援補助対象経費で異なる補助対象経費で異なる
  • 補助率が4分の3以内、5分の4以内のものは補助額50万円以下
  • 補助率が3分の2以内のものは補助額50万円超~350万円以下

【PC・ハードウェア】

  • PC、タブレットなどは補助率2分の1以内、補助額10万円以下
  • レジ、券売機などは補助率2分の1以内、補助額20万円以下

インボイス枠(電子取引類型) インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入

  • 中小企業、小規模事業者等:3分の2以内
  • その他事業者等:2分の1以内

~350万円以下
セキュリティ対策推進枠 サーバーインシデントのリスク低減を支援 2分の1以内 5万円~100万円以下
複数社連携IT導入枠 関連のある複数の事業者が連携して、ITツールを導入し生産性の向上を図る取り組みを支援 補助対象経費で異なる 補助対象経費で異なる

出典:IT導入補助金2024「IT導入補助金とは

具体的な要件などは、公式サイトでご確認ください。

美容室開業までの流れ

美容室開業までの基本的な流れは次のとおりです。

【開業の流れ】

  1. 店舗のコンセプトを立案
  2. 事業計画の立案
  3. 保健所・消防署へ申請前の相談
  4. 店舗用物件の決定と申し込み
  5. 開業資金を調達
  6. 内外装工事、設備の調達など
  7. 従業員の採用活動を開始
  8. 美容室開業

店舗用物件の決定、内外装工事前に、保健所と消防署へ相談しておくことをおすすめします。所定の設備、消防設備を整えなければならないためです。
店舗用物件を決定してから、あるいは内外装工事を実施してからでは、簡単に変更できないことがあります。

関連記事:美容室の開業にかかる費用と内訳・資金調達と融資の活用方法

美容室を開業する際に必要な資金

美容室開業にかかる費用は1,000万円程度が相場です。
日本政策金融公庫が実施した調査で、サロン開業費用の合計は940万円となっています(日本政策金融公庫が融資した企業のうち融資時点で開業後1年以内の企業が調査対象。2014年度のデータ)。
相場となる費用の内訳は次のとおりです。

項目費用
内外装工事476万円
機械・什器・備品等197万円
運転資金150万円
テナント賃借費用104万円
営業保証金・FC加盟金13万円

出典:日本政策金融公庫国民生活事業「新たに美容業を始める皆様へ 創業の手引き+

大がかりな給排水管工事を必要とするため、内外装工事費の割合が高いといえるでしょう。

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美容室が助成金・補助金を活用するメリット

一般的に、助成金・補助金の活用には、次のメリットがあると考えられています。

返済が不要で雑収入として計上できる

冒頭で説明した通り、助成金と補助金は原則として返済を必要としません。
使途は制限されるものの、返済不要の資金を得られる点は大きな魅力です。

また、助成金、補助金は、本業に関連する収入にあたる雑収入として扱えます。
青色申告特別控除(10万円、55万円、65万円の控除)の対象となるため、税負担を抑えられる可能性があります。

社会的信用を得られる

助成金、補助金は、申請すれば誰でも受けられるものではありません。一定の要件を満たしたり、審査に通過したりする必要があります。
したがって、助成金、補助金を受けていると、美容室の社会的信用が高まります。
受給要件によっては、働きやすい環境を整備している美容室などのイメージが定着して、採用活動を有利に進められることもあるでしょう。
美容室の価値を高められる点も助成金、補助金の魅力です。

会社としての制度を整えることができる

助成金、補助金には、受給要件が定められています。これらに対応することで、社内の制度を整えられます。
もちろん、助成金や補助金を活用して、社内の制度を整えることも可能です。
働く環境などを整えられる点も活用するメリットといえるでしょう。

美容院が助成金・補助金を活用するデメリット

助成金、補助金には気をつけたい点もあります。これらのデメリットは次のとおりです。

申請に手間がかかる

申請には手間と時間がかかります。説明会で情報を集めたり、さまざまな提出資料を作成したり、面談を受けたりしなければならないためです。
また、受給要件によっては、社内の制度を変更しなければならないこともあります。
一定の負担がかかることを理解しておきましょう。

受給できるまでに時間がかかる

受給まで一定の時間がかかる点にも注意が必要です。
採択されてから支給まで1年以上かかるケースもあります。
立て替え払いが必要になるため、資金と時間にゆとりをもっておくことが大切です。

ある程度の資金は自分で用意しなければならない

助成金と補助金は、後払いを原則とします。何かしらの施策を実施する場合は、自社で立て替え払いをしなければなりません。
つまり、必要な資金を自社で用意する必要があります。
一部の助成金、補助金は美容室の開業に利用できますが、不足している開業資金を補うなどの目的で利用することは難しいと考えられます。

美容室開業は補助金・助成金を計画的に活用

ここでは、美容室開業に活用できる助成金、補助金を紹介しました。
これらの魅力は、返済義務がないことです。
美容室開業に活用できる可能性がある助成金として両立支援等助成金、地域雇用開発助成金などがあげられます。

ただし、一定の要件を満たさなければならず、また、申請に手間と時間がかかるうえ、支払いにある程度の期間を要します。
メリットとデメリットがあるため、詳細を理解うえで計画的に活用することが大切です。

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